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ブラック・ウェンズディ


ブラック・ウェンズディ    ※公式日本語ルール付

1943年のスペイン義勇兵「青師団」とソ連軍の戦い

価格 8,200円(税別)

プレイ人数
プレイ時間
推奨対象年齢
内容物 フルマップ2枚/ユニット1040個/チャート数枚/シリーズルールブック 1冊/ ゲーム専用ルールブック 1冊/ダイス 2個


◆ユニット=小隊、車両1輌 ◆1ヘクス=125ヤード ◆1ターン=20分

『Black Wednesday』は、1943年冬、不運にもソ連軍冬季反攻の攻勢正面に位置してしまったスペイン義勇兵の運命を扱っている。ゲームは大量の準備砲撃の後、赤いコンバインド・アームズが強力な防御線を突破する、典型的なソ連軍の攻勢パターンが描き出される。主力は、親衛に格上げされたばかりの第63親衛狙撃兵師団とウクライナ地方の懲罰部隊だった第72狙撃兵師団。さらに、独立戦車旅団が加わる。各20輌を越すKV-1cとT34/76は圧巻だ。対する独軍は、数は少ないもののTigerⅠをはじめ、MarderⅡ、Ⅲ号突撃砲、88mm対空砲、そして優秀なスペイン義勇兵(といっても完全な独軍)の守る塹壕線で対抗する。
いまだ馬に乗った騎兵も登場し、政治委員、800mm列車砲もルール化されている。カチューシャに至っては、直径11ヘクスに砲弾の雨を降らせる代物だ。さらに、TCSゲーム特有のヒストリカル性も見逃せない。全てのユニットには史実通りの部隊番号が打たれ、しかも歩兵や戦車のカラーイラストは全て冬季仕様になっている!
マップには、戦場となったグロズヌィ・ボル周辺が、当時の景観そのままに映し出されている。おもしろいことに、FW-190の墜落地点には、ちゃんと残骸が描かれている。病院(だった建造物)もあり、この建物は大きいのだが背が低いので観測には不向き、しかも被牽引兵器を人力で建物内に移動させなければならないという追加ルールが付いている。抽象的なマップを組み合わせていたこれまでの戦術級ゲームとは一線を画し、後述するアクションフェイズと組合わさって、ゲームの臨場感は本当に抜群なのだ。
そのマップだが、TCSゲームはほとんどがフルマップ2枚以上で構成されている。ビッグゲームでプレイ不可能なんていうレッテルを貼られそうだが、これこそがコマンドルールをサポートする、いわば“兵器”なのだ。ゲーム開始前、敵のおおよそのセットアップはわかっているものの、彼らが実際にどこから攻めてくるのかわからない。そして、コマンドルールの制限のため、部隊は臨機応変に対応することは難しい。このため、他のゲームでは不可能に思える野心的な攻撃計画も実現しやすいようだ。対戦者の意表を突けば、彼は新しいOPシートを作成し、できるだけ早く実行さよせうとするだろう。しかし、敵が側面を迂回しているのに、塹壕に籠もっている部隊が動かない。ゲームに広い範囲を与えることで、部隊機動のポテンシャルを引き上げ、敵の意図をわからなくする。連隊長はこうしてジレンマと部隊運用の難しさ、そして新しいタイプの戦場の霧を十分に味わうことだろう。
アクションフェイズの柔軟性もTCSゲームの特徴の一つだ。実戦でも、まず迫撃砲や制圧射撃で敵の抵抗を沈黙させ、突撃グループを前進させる。うまくいけば白兵戦に持ち込む。多くの場合、移動をサポートするのに煙幕を展開させるだろう。移動する部隊を狙って射撃してきた敵には、支援グループが臨機射撃で応射する。TCSゲームでは、ユニットの移動や射撃の順序は定められておらず、アクションフェイズにおいて、プレイヤーは望む順序で(それは実戦に近い形になるだろう)それらを行うことができる。これはプレイアブルになるだけでなく、各部隊の行動がプレイヤーにダイレクトに伝わり、戦場のイメージを鮮明にさせる。
他の多くの戦術級ゲームが、各地、各時期の戦いを断片的にしか扱っていないのに対して、TCSゲーム、例えば『Black Wednesday』では、柱となるキャンペーン(82ターン)とその場面々々を表す8つのシナリオ(10~20ターン)で構成されている。
キャンペーンプレイというのは、多くのゲームでは夢だが、TCSゲームではこれらのシナリオを順番にこなしていくことで、自然とキャンペーンプレイに近づけるようになっている。しかし、なにも無理にキャンペーンをする必要はない。シナリオで十分に楽しめるのだ。TCSゲームの重点はシナリオに置かれ、おまけにキャンペーンもできるというスタイルなのだ。
当時、独軍は前面を薄くした縦深防御戦術を採用していたが、スペイン人は母国内戦の経験から拠点防御を行っている。こういった戦術の違いを、このゲームで試してみてはどうだろうか。赤い鋼鉄の波と独軍の優秀さを十分に堪能できるシチュエーションは、東部戦線ファンならば見過ごすことなどできるわけがない。『Black Wednesday』は、TCSイチオシのゲームだ。

歩兵は小隊、車両や砲は1両単位でシミュレートした戦術級ゲームです。特に、コマンドコントロールに重点を置き、当時の指揮官が感じたジレンマを再現します。
ルールシステムは、ルールブックを読む段階では少し煩雑に思えるかもしれませんが、実際にやってみると全てのルールが有機的に結びついているので非常に簡単にプレイできます。『Advanced Squad Leader』とは異なった、新しい戦術級の世界を見つけることができるはずです。